世界軍事史

世界軍事史―人間はなぜ戦争をするのか

世界軍事史―人間はなぜ戦争をするのか

非常によかったです。軍事史というものを、単純な武力や戦略だけで判断せず、その当時の社会体制や国内情勢、国際関係なども含めて述べられているので、より実態に近い分析になっていると思います。こういったたくさんの要素を並べて戦争を分析すると、意外に世界史全体が見えてくるものですね。世界軍事史というよりも、戦争を中心とした世界史といった内容かもしれません。
ただこれが書かれた年代を考えるとしょうがない気がしますが、今の視点から見ると、第二次世界大戦〜の分析がやや主観的すぎると思ってしまいました。当時の社会主義ユートピア的発想が見え、それに基づき構造を単純化して分析されているので、ベトナムカンボジア紛争の勉強をした俺としては食傷気味でした。特に今起こっている紛争は、そんな単純な構造をなしておらず、もっと複雑な関係を持っているので、今著者が分析を行ったらこの部分の内容も変わっているのかなと考えてしまいました。
ただ、古代〜近代の戦争については申し分なしです。一気に読めました。