善き人のためのソナタ

善き人のためのソナタ スタンダード・エディション [DVD]

善き人のためのソナタ スタンダード・エディション [DVD]

東西冷戦末期の東ドイツを描いた作品。当時私は東ドイツにはいなかった(当たり前だが)けど、こういう状態だったのだろうなとイメージできる作品だった。冷徹な主人公の心が、徐々に溶かされていく姿が印象に残っている。確かに「何をきっかけで変心したのか」というのは、明確に描かれていない。ただ、結局人間の心なんてものは、そんなものなんだろうなとも思う。「善き人のためのソナタ」を聞いたときに涙を流し、追放された演出家との友情や悲劇、芸術家の恋愛を見て女性を求め、そうした度重なる「人間の生活」を盗聴・盗撮することで、いつしかそれに感情移入をしていったのだろうなと、個人的には思っている。ラストの「私のための本だ」はいかった。
シュタージを悪くいっていた家族の子供に、「名前は?」と聞き、子供が「僕の?」と聞き返したところ、「いや、ボールの」と返したシーンが印象的でした。
どうでもいいが、封筒空ける仕事をやっていたヴィースラー大尉の後ろに座っていた人は、映画の前半でホーネッカーの冗談をいっていた人だったと思う。