敗北を抱きしめて
- 作者: ジョンダワー,John W. Dower,三浦陽一,高杉忠明
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2001/03/21
- メディア: 単行本
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- 作者: ジョンダワー,John W. Dower,三浦陽一,高杉忠明,田代泰子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2004/01/30
- メディア: 単行本
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まあ私はこの本を批判できるほど、戦後日本を知らないですが、とてもおもしろかったです。「終戦」という言葉に表れているように、戦争の「敗北」から逃げているイメージはあった。そうした「あいまいさ」というのが、明快に述べられていた。やはり「原爆」や「きけわだつみの声」「ひめゆりの塔」に見られるように、加害者意識よりも犠牲者としての意識が常に内在しているからこそ、こないだの教科書問題のようなことが頻繁に起こるのだと思う。しかしこうした日本の状況は、あくまで日本とアメリカの手によって作られた。問題はそれをどう乗り越えるかだろう。
現状を考えてみると、明確に改善策があるとは思えない。下巻に述べられているように、国際的な観点からは「戦争放棄」の考えは、他国の嘲笑の的となり、日本の国際的な地位を下げることにもなる。しかし「軍事化」を進めれば、周辺諸国(特に中国や韓国)から激しい抗議を招く。国内においても同様である。
どうすれば、他国から完全に自立できるか、というのが難しい。私としても結論の出ていない。こうした問題を考えるとき、思い浮かべるのはヴァイツゼッカーの言葉である。
罪の有無、老幼いずれを問わず、われわれ全員が過去を引き受けねばなりません。全員が過去からの帰結に関わり合っており、過去に対する責任を負わされているのであります。問題は過去を克服することではありません。しかし過去に目を閉ざす者は結局のところ現在にも盲目となります。
大切なことは心に刻み、それを思い出すこと、二度としてはいけないと痛感することだと思う。愛国とか自虐史観とか、右翼とか左翼とか、そういう話ももちろん大切だが、絶対に置き去りにしていけないことは、被害者がいた(現在もいる、日本にも)ことだと思う。どこかの国を非難するのではなく、自らが模範を示すよう、加害国・被害国としての責任を果たし続ける。どちらも忘れることは許されず両方を考慮しなければいけないと、最近思っております。