イスラム教の成立

ムハンマド出現の背景

ササン朝が興った3世紀頃、東西交通は主として陸路、ペルシャからシリアを経由していた。ササン朝ビザンツが抗争を始めると、インド洋から紅海をへてエジプトに出、パレスティナから地中海にでる路線が用いられた。こうしてメッカが中継貿易で大いに繁栄し、貿易で富む豪族との貧富の差が増大した。

イスラム教の創始

当時アラビア人は多神教で、カーバ神殿が中心であった。そのためメッカは繁栄し、クライシュ族はその祭祀を司っていた。クライシュ族ムハンマドは、社会の矛盾を感じて民衆救済を志すようになり、唯一神アッラーの啓示を聞いてイスラムを興した。これは多神教から一神教へという宗教改革を意味し、一神教を通じて部族統合への政治的・社会的改革を伴っていた。
ムハンマドの教えは、メッカの有力者の反感を買い、その迫害から逃れて622年にメッカからメディナに移住した(ヒジュラ)。以後イスラム教は拡大し、メッカの政敵を倒してカーバ神殿イスラム教の聖地とするに至った。ムハンマドの死後、彼の教えはコーランとしてまとめられている。