ねじまき鳥クロニクル第1部〜第3部

ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)

ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)

複雑なストーリー。途中で「俺は一体何を読んでいるんだ」と考えてしまうくらい。最後にはしっかりつながるが、主人公にとって巨大な「何か」と戦っているというあいまいなままの作品だった。ただ私が読んだ三作品の中では、一番好きかもしれない。
世の中には理不尽なことばかりで、合理性というものはあまり当てはまらないことが多い。主人公はそういった常識を捨て、ただひたすら自分の妻を助けるために行動する姿は、なかなか感動的。混沌とした現代っていう感じがする。「世界の終わり〜」でも感じたが、「世界」というものは、一人一人の個人の中に存在しているという哲学的な問題が描かれている気がした。今回も主人公がとらえている世界があり、通常?の世界があり、あいまいな領域がありという形で。そして大切な人とのつながりがあれば、そういう複雑な世界でも生きていけるというメッセージのようにも感じた。
やはり変な女性と地下(今回も井戸)が出てきた。村上春樹はこういう展開が好きなのだろう。とりあえず自分の中での春樹ブームは終わり。当分は読まないかな。