派遣切り

ここのところ急激な不景気の影響から、内定取り消しや派遣切りが相次いでいる。特に派遣労働者の方々は、年を越すのも困難だという状況があった。今もその暮らしは安定していないのだろう。
派遣労働という分野は、ここ十年?くらいで拡大して、ここ最近までの好景気は、派遣労働者が支えているなんて話もあったくらい。今回の派遣切りで、その「景気の調整弁」といった意味合いを改めて痛感させられた。特に悲惨なのが、平成不況期にリストラさせた人々だろう。リストラがはやった時代にリストラされ、その後の職として派遣労働者として働いていた人々は、今度は今回の派遣切りという目に遭ってしまった。就職氷河期に就職先がなかった人々も含めて、長期的な不況が、とても大きな影響を社会に与えているということを痛感させられた。しかも派遣先会社は保険などに加入していないことがあり、セーフティーネットがこの人々を拾えないというひどい話。まさしく非難されるべきは、企業側だと思う。
ただ一つ気になることがある。20代(特に前半)の派遣切りにあった人々だ。この人々は、正社員の口があったのではないかと思ってしまう。中には過去に正社員だった人もいただろう。自ら進んで派遣社員になったと思うのだが。
昔、都内で働いている友人に、正社員で働くより、派遣で働いた方が稼げることがあるという話を聞いたことがあった。派遣で一日に二つとか三つとか入れられるときは仕事を入れて、それを毎日繰り返すと結構たまるというお話。たぶん嘘ではなかったと思うが。んで休みたいときは休める、という自由さ。そこに惹かれて、派遣労働を行っていた人がいたと思う。彼らも今回の出来事で、社会全体からサポートされることになるだろう。そこに少し気になることがある。
現在の離職率だと、たぶん3年間で3割近くの人が離職をしていたと記憶している。想像だけど、この離職した人々の多くが、派遣労働に流れていたのだと思う。もちろん最初から派遣でいいと思っている人もいたと思うが。何が気になるかというと、最初から(または正社員をやめてから)派遣で良いと考えていた人々は、今回のことで反省してしっかり働けるのかという部分に不安を感じる。例えば正社員として働くことができるようになっても、また途中でやめてしまったりしないのかと。
私の友人で、同じように派遣などで生活していた人が何人かいた。ただそのほとんどが、ここ数年で正社員として働くようになった。つまり気づける人は、気づけていたのだ。「このままじゃあかん」って。その危機意識をもって取り組んでいたら、今回の派遣切りの影響をあまり受けなくてすんでいたと思う。結局気づいたとしても、甘えてしまった人が結構いたと思う。
もちろん社会全体として国民の生活を保障するシステムは必要だし、企業側も改善していく必要がある。「仕事がない」という状態は、その人の生命を左右することになりかねないからだ。最近の派遣切りのニュースは、日本経済の悪い部分を一部の人々に押しつけてしまった、今後必ず解決しなくてはいけないことだと思う。それとは別に自ら進んで派遣に流れ、そのままで良いと思ってしまうような状況を変えなくては、結局違う形での問題を引き起こすことになるだろう。「働くこと」について、もっと考えていかなくてはいけないと思う。