気狂いピエロ

気狂いピエロ [DVD]

気狂いピエロ [DVD]

 ゴダールの代表作、フランス映画です。おもしろいとかつまんないとかで計る映画ではないかも。ストーリーは、ざっくりいうと男と女の話。
 映像は断片的で、時折時系列がわからなくなる。映画の中で一体どのくらい時間がたっているかわからず、ふとしたとこでセリフで教えてくれる。なのに、船に乗っているシーンや海辺を歩くシーン、森のシーンなど、自然豊かな美しい映像はしっかり時間をとって描写する。画面を彩る赤や青などの鮮やかさや、銃やはさみ、血など、違う意味での鮮やかさは、美しい。そのくせ、大事なこと?はわからない?部屋に死体があっても触れず、なぜ逃げるのかもあまり触れず、映像ど断片的なセリフで想像するだけ。マリアンヌの兄はいたのか、マリアンヌは誰なのか、そこはウソばかり。哲学的なセリフ、男女の甘いセリフ、演劇?のセリフなどは、しっかりしており、こちらは意味がないのかあるのか、それこそ哲学的に考えてしまう。
 こうやって書いてみると、ストーリーとして大事なとこは映像でもセリフでも断片的で、ストーリーと関係のないところは丁寧に描いている。なので見るところは、やはりストーリーではないのだろう。人生とは何か、男と女とは何か、この映画はある面で理想なのかもしれない。まあ感情とは突発的で断片的なものだから、繋がっているほうがおかしいのかも。破天荒な女とそれに乗っかる男、言葉で生きるよりも感情で生きる、そんな解放感を与えてくれる。
 しかしマリアンヌは美しい。アンナ=カリーナという女優らしいが、ジャン・ポール・ベルモンドと「運命線が短い」と歌うシーンは女性の美しさ、エロティックな感じが出て見入ってしまった。
 見終わったあとに俺が「言いたかったことは、……。」