卒業式

去年実は2年生(つまり今年の卒業生)を担当していました。成長したなと感心。実は昨年の四月にいろいろあって、本当は持ち上がりで校内人事が決定していたのに、3月30日に急に変更されていました。T1の先生と学年の先生が必死に抗議したけど覆らなかったのです。そういう経緯があってか、俺と代わって入った先生とはあまり話せず、複雑な状況だったのです。俺には何もできないことだったので、今年は必要なことだけをやって必要以上に思い出さないようにしていたのです。「今年は仕事だけ(ボランティア的なことなど積極的に関わることをしない)」と心に決めて、自分の感情をコントロールし続けました。
式のあと、保護者によるおめでとう会なるものが、学校の食堂でありました。俺は担任でもないので、昨年のことをなるたけ思い出さぬよう心に決め、会に臨みました。一切去年のクラスの子と話さないのはまずいと思い、少しぎこちない感じで話し始めました。他愛もない会話が途切れたので、何かつなごうと思って「高等部たのしかったでしょ」と聞いたところ、一斉に「うーん、どうだろう」という返事。ありゃって思ったので「何で?」と何気なく聞いたら、「だって去年のほうが楽しかったもん」「びっくりしたよ、先生いないから」と示し合わせたように言われました。情けないかな、その瞬間に去年の四月の決意や会参加への心構えがガラガラと崩れ、普通に前を向けなくなってしまいました。四月に抱いた自分への情けなさ、申し訳ないという思い、変更の不条理さへの怒りなど、忘れようとして忘れたと思っていた感情が一瞬にわいてきてしまい、「またまた」「今年だって楽しかったでしょ」って感じの気の利いた答えが一切できなくなってしまいました。
生徒は俺に対して、おもしろくて抜けているけど厳しい人というイメージをたぶん持っています。だから涙なんか見せようもんなら、たぶん生徒はもっと悲しくなるだろうと思い、絶対に泣いてはいけないと思っていました。もちろん泣かなかったけど、それ以降、生徒と口をきくことができなくなってしまったのです。いやー、びっくりした。まさか、一斉にそんなことを言われるとは思っていなかったので。果たして離任式を乗り越えられるか。