薔薇の名前

薔薇の名前 特別版 [DVD]

薔薇の名前 特別版 [DVD]

14世紀の中世修道院を舞台とした連続殺人を解明するサスペンス。映画の中に表現されている状況が、当時の様子を表しておりおもしろい。途中教皇使節が訪れる場面があったが、周辺の人々をこき使って馬車を押していた。また十分の一税?か何かを修道会に納める場面、並ばせるのに修道士が怒号を発していた。まさにキリスト教の世俗化か、しかもフランチェスコ会カトリック教会の論争のテーマが「キリストの着ていた服は、財産か否か」。なんともなー、という感じ。
薔薇の名前」とは英語で「the Name of the Rose」、中世キリスト教会で起こった普遍論争の話も含まれているみたい。主人公はパスカヴィルのウィリアム、まさにオッカムのウィリアム(ウィリアム=オッカム)を指しているのかなと。主人公も「理性」を重視し、迷信をあまり信じていない様子。オッカムのウィリアム唯名論者で、信仰と理性、神学と哲学を区別していた。それに対して異端審問官のベルナール=グィーは論理的な証明などを実施せず、「悪魔」とか「異端」とかで「連続殺人」を解明したと主張する。このあたりも、当時の人々の様子が現れているのかなと思った。