全国学力テストに思う

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140425-00000185-jij-soci
 大分県由布市教育委員会は25日、県の統一学力テストの前日、50代の男性教諭が担任の小5のクラスで試験問題のコピーを配布して解答させ、採点や解説をしていたと発表した。教諭は「子どもに自信をつけさせたかった」と話しているという。 市教委などによると、テストは毎年、県内の小5と中2全員を対象に実施。教諭は実施前日の14日の1〜3時間目、国語と算数、理科の全3教科の問題のコピーを配って解かせた上で、解説を行ったという。県教委は、このクラスの成績は県の集計からは除く方針。

 この先生は処分されるのでしょうかねぇ。「子どもに自信をつけさせる」という目的は間違っていない。どうやら教育委員会やメディアは手段が間違っていると考えたようだ。
 さて、今回は全国学力テストについて考えてみます。まずは目的から

文部科学省のサイトより

  • 義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図る
  • そのような取組を通じて、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立する
  • 学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てる。

 この目的だと、結果を学校単位や市町村単位で公開する必要はなさそうですが…。「学校選択制」があるので、その参考にするのでしょうか。けど、教員は転勤します。小・中学校の転勤は回転が早いので、5年くらいで回るところもあります。ってことは入学したときと6年生になったときでは、教員はずいぶん変わっているはずですが、そのあたりはどうなるんでしょう。「学校選択制」がないところでは、なぜ学校単位で公開するのでしょう。
 1つの大きな目的は教科指導の改善に役立てるということだと思います。これはもっともなことです。しかしそれにも大きな問題があります。学校の教科指導力を計るためには、レディネステストが必須です。じゃないと、どの程度学校の指導で学力がついたかを判断できません。けど、この全国学力テストは小6と中3です。これじゃぁ、改善に生かすことはできません。なぜなら、どこの部分がどう足りなかったがわからないからです。
 こっからは想像ですので、かなり問題発言をします。
 なぜ、レディネステストをしないのか。それは小学校入学前の段階での、学力の地域格差が露骨にでるからだと思います。レディネステストをしないのは、「小学校入学前の子どもたちは日本各地でみんな同じ」という神話を崩したくないから。だからやらないのかと思います。しかしこれでは学校の教科指導力は計れません。けど、やった事実が安心を生むということでしょうか。

 最初のニュースに戻りますが、この行為が問題だとしましょう。そしたらどこからが問題になるのでしょうか。

  • 「何もせず、いつも通り」
  • 「一週間くらい前から特別時間割にして、国・数(算)・理のみの授業を行う」
  • 「どっかの業者?が準備した模擬試験を放課後にくり返し実施する」
  • 「教員が問題(過去)を見て、それに合った授業を行う」
  • 「教員が問題(過去)を見て、類題を作り解かせる」
  • 「前日に練習で試験問題を解かせる」

 まあ最後はアウトだろうね。地区によっては最初もアウトかも。
 本来の目的からすると、最初以外は全てアウトだと思います。日頃の教育活動の成果を計るわけですから。実際はいろいろやってますよね、実際は…。
 そういや日頃の教育活動と書いたが、生徒指導や進路指導(進路啓発)の成果は計っているのだろうか。教員の仕事って教科指導だけていいの??