希望難民ご一行様

 ピースボートに乗った著者が、そこに集まる人々の様子を分析した本。テンポのある語り口と、引用などで出てくる学者に、おもしろい枕詞がついており、気楽に読める一冊。後半は結構きちんとした分析。
 ピースボートは二重の「冷却」機能を持っている。「現代的不幸」(自分らしさとか承認要求とか)の解消と、希望(世界平和とか)の冷却である。またこの2つが繋がって起こることで、「現代的不幸」が社会的承認ではなく、「共同体」の相互承認によって解消できるということを明らかにした。この「承認の共同体」が過去のムラ社会と同じ目的性を持たない共同体で、これがあることで若者は安心し、目的性をもつコミュニティに参加しない。結果的にこの「承認の共同体」は体制側にとって都合がよく、現状を維持させる役割を持つ。
 イマイチうまくないまとめだなぁ。やっぱメモとりながら読まないとうまくいかない。この本は「若者にあきらめさせろ」といっている。これはまさにその通り。下手に夢を持たせ、それが実現できると言い続けるため、ピースボートに乗らないとわからない若者が出現するんだと思う。
 けどやっぱりピースボートに乗る人って、特殊だよなぁと思った。別に変な人とかいう意味ではなくて。観光の人は別だけど。とか言いながら、私も若い頃は「乗りたいっ」って思っていた。けど、行動はしなかった。そう考えると、行動的で、夢がある人が多そう。たぶん客観的にみれる人って少ないと思われる。もし俺が乗ったら、検閲が入る新聞に拒否反応を示し、反ピースボート的な動きをするやもしれん。そこで「泣きながらピースボートを守る人」を気持ち悪く感じてしまうと思う。昔やってた大学生協もそんな感じだった。地域大会みたいなのに参加したとき、「なんでこんなことを延々と語っているの??」と思いながら生活してた。みんなやけに熱く語っているのをみて、すごく疎外感を感じた。若い頃ってそういう熱を込められる活動って必要なのかもね。