ギリシア史の展開

前12世紀のドーリア人の南下によって、ミケーネ文明は崩壊した。これによりギリシア全土が混乱し、暗黒時代を迎える。文字の知識も失われ、文字による資料も完全に欠如した

ポリスの形成

前8世紀頃、ポリスと呼ばれる都市国家が各地に成立する。大きいもので30万人〜40万人(アテネ、スパルタ)であるが、小さいものは数千人程度であった。村々に住んでいた人たちが政治の中心のもとに統合(シノイキスモス=集住)して成立した。ポリスは政治的には分立しており、1000以上のポリスが存在した。ポリスの中心部にはアゴ(広場)があり、ここで政治上の集会や議論が行われ、市場が開かれた。アクロポリス(小高い丘)に神殿があり、ポリスの中核をなしていた。

ポリスの共通性

ポリスは多様であったが、そこには共通の特徴も存在した。①自由民としての市民の身分が確立している ②閉鎖的な集団で、また下には奴隷が存在する奴隷制社会である ③スパルタと例外として、貴族制的要素民主制的要素を内包しており、両者が対立している ④民主制というのは直接民主制であり、民会が国権の最高機関 という点である。
民族としての一体性を持っており、自らをヘレネス、異民族をバルバロイと呼び区別した。また国土をヘラスと呼んだ。この同族意識は共通の言語・宗教・神話や、隣保同盟デルフィの神託オリンピアの祭典などで支えられていた。しかし政治上での分立は激しく、領域国家を形成し得なかった。

植民活動

前750年〜前550年頃は植民活動の時期だった。各地にギリシア人の植民市が建設され、ビザンティオン・ネアポリス・マッシリアなどが有名である。植民活動の主な原因は、人口増加による土地や食料の不足であった。それ以外として商業や金属資源が挙げられる。植民市は本国から独立したポリスを形成していた。こうして広大な地域に分布した結果、物資の交換が盛んになり、商工業が飛躍的に発展した。